
地域公共交通活性化協議会の令和6年度第2回会議(2025年3月14日開催)の関連資料「市民団体発表資料」の中の「白井市の移動困難者を中心にした交通問題」の項目にナッシー号について「コミュニティバスの非利便性、複雑化⇒空気を運んでいる」というコメントを発見した。かつて成田空港線開業前の京成のイブニングライナーとモーニングライナーも空気を運ぶと揶揄されていた時期があったことを思い出す。京成は空気を運ぶことに慣れているのかもしれない。予想通り4年前のルート・ダイヤ改正(2021年8月1日)は結局、利用者を減らしただけだった。
ルート改正はコロナで利用者が減り、採算が悪化していた京成の路線バス事業者の支援が目的だったことは明らかだった。コロナで利用者が減っている時期にコミュニティバスの運行本数を1.5倍に増やす理由は委託費の増額以外に考えられない。利用率が10%台のコミュニティバスについて議員からの問題提起が皆無なのは議会が機能していないことを物語っている。議員報酬を値上げしたのに値上げ前より議員の活動の質が低下している。
昨年末に市が配布した「白井市 公共交通に関するアンケート」は最初から現在のコミュニティバスの継続を前提にした内容だった。空気の他に何を運ぼうというのだろうか。透けて見えるのは事業者への委託費を維持したい市長の意向だ。忖度を燃料にして空気を運び続ける気なのだろう。この体たらくに議会は何をしているのだろうか。北総線問題の次はデータセンター問題だけのようだ。これまで梨ブランデー事業、北総線の値下げ等々の問題はどれも時間だけが無駄に費やされた感がある。議員の数をもっと減らして議会で挙手だけしているような人たちには退出を願うしかない。
つい最近、西白井駅のロータリーを歩いていてナッシー号の最終便2台を目撃した。1台は先発の19時20分発の南ルートの白井市役所行きのバスでコミュニティバスのバス停に停車していたが、誰も乗っていなかった。もう1台は後発の19時24分発の西ルートのバスで白井駅北口止まりだった。後発のバスは歩いていた時にロータリーに入って来て七次台の路線バスのバス停付近で乗客を1人降ろして先発のバスが出ていくのを待っていた。後発のバスがコミュニティバスのバス停に入るとベンチで座っていた人が1人バスに乗り込む姿が見えた。
この時刻にこの先のバス停で誰か乗るとは考えられないので終着まで2台で乗客1人を運ぶという現状は空気を運ぶに等しい。市民の役に立っているとは思えないバスの運転手さんはどんな気持ちだろうか。空しい気持ちだろうか。それとも客がいなくても収入が保証されているので関係ないのかもしれない。
コミュニティバスの役割は鉄道や路線バスの補完だそうだが、市民の役に立たなくとも路線バスの経済的支援になっているのだろう。そうでなければ路線バスの事業者が七次台行きのバスを福祉バスと揶揄し、コミュニティバスへの移管を求めるはずがない。儲からない路線はコミュニティバスでなら運行しますよということだろう。経済合理性から言えば言っていることは正しい。しかし、市民からすれば空気を運んでいるバスにお金をかける経済合理性はない。本当に困っている人たちには乗合タクシーを提供するのが一番いいのではないだろうか。路線バスの事業者は採算のとれない路線をどんどん廃止して採算のいい路線に資源を振り向けるべきだ。事業者によってはコミュニティバスの運行を辞退するケースもある。
千葉ニュータウン中央から新鎌ヶ谷駅まで運行していた京成の路線バスは、競合事業者が撤退したらあっという間に26便から2便に減便されている。このバスの利用状況は開業以来福祉バス並みの利用者しかいなかったはずなのに駅前ロータリーの新規参入を阻止するためにバス停が維持され続けている。新鎌ヶ谷駅に往復2便のバス路線を維持する経済合理性を説明してほしい。このまま空気を運び続けるつもりなのだろうか。維持できている理由があるとすれば、この路線が千葉ニュータウンの高花線の延長路線として運行されていることだろう。京成は成田空港線の開業申請時に運輸審議会で内部補助を明確に否定していたことを思い出す。白井市内の路線バスの採算をコミュニティバスで取っているのではないだろうか。路線バスもコミュニティバスも運行事業者は京成なのでこれは立派な内部補助なのではないだろうか。
不思議なのは、新鎌ヶ谷までの直通便がコミュニティバスから廃止されて困っている住民が直通便の復活を市に再三要望しているのだから京成は減便した新鎌ヶ谷駅の路線をコミュニティバスへの移管を求めればいいのにそうした動きはない。そうすれば、コミュニティバスの利用者が大幅に増えることになるだろう。市も事業者もコミュニティバスの利用者を増やす簡単で確実な方法をなぜ見て見ない振りをするのだろうか。それは北総線の利用者に影響するような施策は受け入れられないからだろう。
市民の交通利便性を高めるためのコミュニティバスのルート改正という市の説明は何だったのだろうか。行政はいつも平気で嘘をつく。