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7年連続の人口減~北総線の運賃値下げ効果なく、交通利便性のさらなる悪化

 

前回の市長選で2期連続無投票で当選した笠井市長の2023年4月25日の登庁時の公約を思い出す。「現在の人口は約62千人(筆者注 20233月末 62,693)。総合計画の目標人口・65千人を目指し、企業誘致や子育て・教育の充実を図り、白井をもっと豊かにするための施策に取り組んでいきたい」と話しました。と当時の広報に掲載されている。

 

👉5年連続の人口減 交通利便性の低下にあきれる白井市民 Part Ⅱ~市議会選挙結果から見た北総線値下げに対する評価

 

あれから2年以上経過したが、人口は目論見を外れて毎年減り続け、62千人を割り込んでしまった。全国的に少子高齢化が進み、一部地域を除いてこれから人口が大きく減少していくときに安易な公約を表明したのは、202210月の北総線の運賃値下げ、とりわけ通学定期の大幅な値下げと西白井駅前の大型マンションの入居が要因だったのだろう。

 

しかし、2023年12月にはすぐに人口はマイナスに転じて直近の20256月末までプラスだった月は2023年5月末~8月末、20244月末、20255月末の6回だけ。2019年から7年連続で人口が減少している。7年間の累計人口減少数は1,798人だ。

  

人口は減少する一方で世帯数が増加しているため1世帯当たりの人口は2009年3月末の2.73人から20253月末には2.26まで低下している。1世帯当たりの人口が2人を切る日もそう遠くないだろう。

 

白井市の人口推移 2009.03~2025.03
白井市の人口推移 2009.03~2025.03
22年度の人口
22年度の人口
23年度の人口
23年度の人口

24年度の人口
24年度の人口
25年度の人口
25年度の人口

そもそも消費税の導入から始まった長期経済低迷による国民の生活水準の低下が著しい状況で大きな要因もなく、人口がプラスに転じるという市の総合計画の甘さというより杜撰さにあきれるしかない。

 

そして、北総線の沿線住民共通の悲願だった運賃値下げが、通学定期と一部区間の値下げだけに留まり、白井市の一般市民には何のメリットもない値下げだった。その中で議員と市の幹部及び職員の報酬と給与の値上げが行われている。値上げについての財政検証は市民に示されておらず、お手盛りで値上げした感がある。

 

議員の成り手の不足への対処という効果不明の理由しか示されていない。前回の議会選挙で白井は女性議員の比率が全国一になったと報じられたが、女性が増えたことで議会が活性化された印象はなく、以前より市民に対する情報提供や問題提起が減少していると感じる。

 

今の状況を見ていると議員定数をもっと減らした上で議員報酬を上げて意欲のある人に議会の活性化を託したらどうだろうか。そうでないと市長の独断的な市政が続くことになるだろう。議会に諮る前に公表され、導入された一部の学区のスクールバスの導入やコミュニティバスの意味不明のルート改正を市民に積極的に説明する議員は皆無だ。

 

前回の選挙で北総線のさらなる値下げやコミュニティバスのオンデマンドバス化を掲げた議員がいたが、その後、現在まで具体的な取り組みは何も示されていない。

 

通学定期は世間並みの水準に是正されただけで通学定期代が安くなったから白井に住もうという人が増えると思ったのだろうか。運転手不足と利用者の低迷から市のバス路線は壊滅的状況で利用者を減少させるようなコミュニティバスのルート改正は市民の公共交通に対する期待を萎ませ、人口減少を後押しすることになっただろう。

 

北総線は通学定期の値下げで若者の利用者が目立つようになったが、各駅停車の利用者は依然少なく、日中の車両は閑散としたままで京成のアクセス特急に乗換える利用者が目立つ。線路を貸して乗客が減るというおかしなことが続いている。

 

スカイライナーに至っては線路使用料も払わずに北総線を乗っ取った感がある。新鎌ヶ谷駅にまでスカイライナーが停車するようになり各駅停車利用者はアクセス特急とスカイライナーの通過待ちや目的地までの乗換えを強いられ、時間帯によっては以前より時間がかかるようになっている。酷いのは京成高砂や青砥で京成本線利用者の乗り継ぎ待ちまで強いられているのが現状だ。

 

こうした状況でも白井市長は市民の生活利便性より事業者や支持者に配慮した政策を続けている。

 

議会で市長の公約である人口問題に関連した施策について質問をしている議員はいるのだろうか。彼らの配る議会報告には何も書いていない。

 

多くの議員が選挙で取り上げた企業誘致は、環境問題が争点となっているデータセンターの建設だけのようだ。データセンターの誘致で税収が増えたとしても雇用には影響がなさそうなので人口問題には貢献しないことだろう。

 

期せずして現在の市長が無投票当選した前の年から白井市の人口減少が続いている。市長になる前は市の総務部長で議会対策にも関与していたのではないだろうか。職員も市長が人事権を握っていた元総務部長ではやりにくいことだろう。

 

白井市のホームページの人口の開示の仕方も以前とは変更になっている。今年の4・5・6月の人口と世帯の表示には前月対比がなくなっている。過年度の分はExcelで増減を比較できるが、どうしてこんな公表の仕方をするのだろうか。ちなみに、印西市は地区別の人口まで公表している。

 

県のホームページの開示人口と市の人口が異なっているが、これは、県が公表している人口が前回の国政調査の人口からの増減に基づく数値であるのに対して市が公表する数値は住民基本台帳の増減に基づく数値のためだ。増減自体の数値は同じだ。

  

県が公表する数値は統計であり、市が公表する数値は任意のお知らせに過ぎないということだ。だからと言ってご丁寧に過年度の内容まで遡って表記を訂正する必要があるのだろうか。以前は外国人の人口まで表示していたが、現在はシンプルに人口と世帯数のみになっている。

 

市が公表している人口
市が公表している人口

北総線の運賃値下げ公表後に駅前の活性化に市は取り組んでいたはずだが、活気のない西白井駅前のロータリーの現状が市と議会の能力を表しているように思う。百聞は一見に如かず。

  

先日、市役所に用事で訪れたときに市役所の入口前のナッシー号のバス停で待機しているバスをたまたま目撃した。通りかかったときにバス停で待っていた人が1人乗り込むのが見えた。もう一人いたが、乗らずに立っていた。どうやら125分発の千葉ニュータウン行きのバスようだった。市役所のバス停でも利用者が1人か2人だ。これでいいのだろうか。

 

市役所のバス停で待機するナッシー号
市役所のバス停で待機するナッシー号
市役所のナッシー号の時刻表
市役所のナッシー号の時刻表