
(2023/05/20 更新)
北総線の22年10月1日の通学定期を通常の運賃に引き下げただけの画期的な?運賃値下げから2年半以上経過したが、白井市民の交通費の負担は何も変わっていない。値下げで新鎌ヶ谷から千葉ニュータウンの入口の西白井(1駅3.1km)の普通運賃は30円下がり、310円(ICカード運賃309円)から280円(ICカード運賃279円)に改定された。
東武線の新鎌ヶ谷から船橋までは9.4kmで209円。如何に運賃が高いかがわかる。新鎌ヶ谷から西白井までは1駅だが、初乗り運賃ではない。初乗り運賃は3kmまでだ。マスコミや議員は初乗り運賃が190円に引き下げられたことを強調していたが、千葉ニュウータウンの住民のための鉄道だったはずなのに初乗り運賃では千葉ニュータウンのどこにも行けないのが現実だ。
それなのに立憲民主党は前回の参院選で北総線の値下げに尽力していることを強調し、誰も取り残さないというフレーズの選挙ポスターを貼っていたことを思い出す。労組の顔を見て行動する日和見政党は最近は消費税問題でも迷走を始めた。
自民、公明、維新、国民、立憲どれも体質が同じ勘違い政治家たちなのだろう。その人たちを支援する人たちは何を見ているのだろうか。市議会議員も北総線値下げ後の23年4月の選挙でさらなる値下げとかオンデマンドバスの導入とか主張していたが、唯一の成果?は自分たちの議員報酬の大幅な値上げだけだ。北総線の運賃値下げと自分たちの議員報酬を天秤にかけたと思われても仕方がない。
市長や職員の報酬まで増やす一方で公共施設の使用料を値上げし、市長は報酬の値上げの理由は財政に余裕があるからと議会で答弁したそうだ。みんなで渡れば赤信号怖くないということなのだろう。
白井市内のバス路線は壊滅状態だ。新鎌ヶ谷への乗り入れをやめていつ見かけても空か1~2人しか乗っていないコミュニティバスは恥ずかしいのか目の前を猛スピードで通り過ぎていく。
民間にできることは民間でという理由でコミュニティバスの新鎌ヶ谷への乗り入れを市は市民の要望を無視してやめたが、最近、事業者は市内を走る利用者の少ない路線バスをリスクのないコミュニティバスに移管してほしいと地域公共交通活性化協議会の場で発言していることが議事録に記載されている。以前は路線バスを補完するコミュニティバスが路線バスと重複することに苦言を呈していたのを忘れたのだろうか。こういう発言が行われるのは鉄道もバスも、そしてコミュニティバスも京成グループが独占しているためだろう。
自治体によっては運転手不足のためコミュニティバスの運行を辞退する事業者もある中でコミュニティバスへの移管を京成が求めるのはコミュニティバスなら採算が取れるからだろう。コミュニティバスは利用者が乗ろうが乗るまいが関係ない福祉バスだとしても儲かるということだろう。コミュニティバスの運行が実質的な路線バス事業者への補助金となっている。前回のルート改正で運行ニーズが下がっているときに「現行の1日40便から1日61便に増便(約1.5倍)し、運行本数を増加」させたことで事業者への委託費が「令和5年度では約7千9百万円の財政負担(税金での負担)」になっていることが「白井市 公共交通に関する市民アンケート(回答期限2025年1月24日)」に記載されている。おそらくルートも増便も事業者の採算と都合で決まったのだろう。
コミュニティバスの新鎌ヶ谷への代替バス(北総線並行バス)を提供していた唯一の京成以外の事業者は利用者の低迷と運転手不足であえなく運行をやめてしまい、利用者は見事に切り捨てられてしまった。おそらく、並行バスにダメージを与えるような北総線の千葉ニュータウン中央駅⇔新鎌ヶ谷駅間の選択的な運賃の値下げも並行バスの利用者減につながったことだろうう。空気を運ぶコミュニティバスは今日も何事もなかったように市内を走っている。それなのにこうした状況を市民に伝える議員は皆無だ。
千葉ニュータウンから代替バスに対抗して運行していた京成の北総循環線の新鎌ヶ谷駅の運行本数は、なんと平日13時台の1本(12:35 千葉ニュータウン北口発)だけになってしまった。このバスは利用者の多い高花線の延長路線に過ぎない。高花線の上りで採算面の帳尻を合わせているのだろう。成田空港線の認可の際には自ら内部補助を否定していたことを忘れたのだろうか?


バス停を残すために1往復運行しているとしか思えない。バス停を廃止しないのは、ロータリーへの新規参入を阻止するためだろう。西白井駅のロータリーも同じ状況だ。北総線の駅前ロータリーはすべて京成が独占している。こうした状況に協力する無能な行政。国民が行政に公正と公平を求めても何も変わらないのは国だけでなく、地方行政も同じだ。
ただ、七次台をつなぐ西白井駅発着の路線について昨年の白井市地域公共交通活性化協議会の席で旧船橋新京成バスの委員は福祉レベルの路線は維持できないのでコミュニティバスへ移管することを強く求めている。専用バス停が不要になる可能性もあるのだろうか?その場合でも、おそらく西白井駅と鎌ヶ谷大仏駅をつなぐ路線として2つのバス停を維持する可能性が高いように思う。今ですら2つのバス停を占有する必要がないからだ。日常的に道路が混み、渋滞必至の鎌ヶ谷大仏駅にわざわざバスで行く白井市民がいるとは到底思えない。もし、鎌ヶ谷大仏駅で電車に乗るくらいなら多くの人は新鎌ヶ谷駅から京成電鉄松戸線(旧新京成線)を利用するだろう。
ちなみに、同じ協議会の席上でちばレインボーバスの委員は「北総循環線につきましたは、北総線の運賃部分の変更よって、かなり利用者の状況が変わっており、役目は終えているのかなという意向がございまして、大幅な減便をさせていただいたという次第です。」と発言している。対抗していた代替バスの撤退で役目が終わったということだろう。でも、権利としてバス停は維持させていただきますということだ。
しかし、北総循環線も上記の七次台をつなぐバス同様、1台当たりの利用者はせいぜい5~6名程度の福祉バスレベルだったから内心ほっとしているのではないだろうか。協議会の事務局の「最後に、減便に対する市役所への問い合わせ状況ですが、千葉レインボーバスの減便(北総循環線、白井車庫と西船橋駅を結ぶ白井線)に対する問い合わせはありませんでした。」という報告が北総循環線に対する市民の関心の低さを物語っている。26便から2便に減便になっても誰も困らなかったのだろう。 利用者のために運行されていたのではなかったことがいみじくも証明されてしまった。
駅のロータリー内のバス停の設置はタクシー事業者と路線バス事業者で構成される協議会で決めるしくみのため新規事業者の参入障壁となっている。国や自治体が審議会や協議会を設置するのはガス抜きと批判の矛先が直接自分たちに向かわないようにするためだ。審議会や協議会の出す答申は行政が描いたシナリオに沿ったものが作成される。
高額の鉄道運賃の継続と代替バスの消滅に対する白井の住民の対応策はマイカーの利用が最も有効な手段になっている。免許を返納してしまった高齢者はお手上げ状態だ。車なしでは市内ですら自由に移動できない。中には北総線と並行する国道464号を自転車で新鎌ヶ谷駅に向かう住民もいる。雨の日にずぶ濡れになってペダルをこぐ姿を何度も目撃した。
1時間に1本もない時間帯のあるコミュニティバスが生活の足になるはずもない。しかも、コミュニティバスの運行本数61本中23本が千葉ニュータウン中央駅行きだ。運行本数の4割近い本数だ。新鎌ヶ谷駅行きは民間でできることは民間でという理屈で廃止され、ニーズのない千葉ニュータウン中央駅行きは前回のルート改正で大幅に増便されている。
しかし、民間にできるとして運行されていた新鎌ヶ谷駅行きの代替バスは撤退し、北総循環線は運行している意味がなくなっている。市民が払っている税金が市民の交通の足につながらない事業者の事業維持のために使われているのが現実だ。金銭面でコミュニティバスが民間の路線バスを補完していることになる。残念ながら消費税問題と同じでしくみを理解している市民や関心を持っている市民は少ない。
役所は事業者優先で動く。誰のために働いているかを忘れている役人は多い。自分たちの給料が税金で賄われていることを忘れて生活保護の受給者を税金にたかるくず扱いする群馬県桐生市役所の闇が報じられている。お前こそくずだろうと言いたくなる。彼らは税金があたかも自分たちの自由になる金だと思っているのではないだろうか。
役人の使命は国民や市民の生活を守ることが第一のはず。理不尽な対応をした桐生市の職員には減給等の厳しい処罰を課すべきだろう。自分の成績だけが大切な役人なんかいらない。
役所は常にウソをつくというのが真実ではないだろうか。自分の出世と責任逃れだけで仕事をしているような役人は一生懸命働いている非正規職員と配置換えするべきだと思う。正規職員だから仕事ができるわけではない。人手不足の中、優秀な非正規職員をどんどん正規職員に処遇するべきだと思う。
かつては1区間の運賃が最大290円路線と表現されていた北総線
北総線の値下げにについて政治家もマスコミも初乗り運賃の値下げを強調するが、かつて1区間の運賃が最大290円というフレーズが使われていたことを都合よく忘れているようだ。
一番悪質だと感じるのは今回の運賃値下げ当時、北総線の値下げの先頭に立っていたはずの北実会の会長だった西白井駅前に住む市議会議員が北総線の値下げを天下りの社長(現会長)の英断とヨイショして初乗り運賃の値下げを強調していたことだ。この人は前回の市議会選挙後の議員報酬の値上げでも主導的な役割を果たしたようだ。市議会選挙と並行して行われた市長選での無投票選挙にも尽力したのではないだろうか。
すごいパワーだ。北総線の値下げ、議員報酬の値上げ、市長の無投票当選と3つの実績を次の選挙で市民がどう評価するのか。次の選挙が待ち遠しい。
しかし、西白井から新鎌ヶ谷までの1区間の現行運賃が280円という現実をどう受け止めているのだろうか。それとも車で移動しているので新鎌ヶ谷まで鉄道を利用することがないからどうでもよかったのかもしれない。
選挙のビラには「北実会会長、23年間に亘り運賃値下げに取り組み、昨年10月、通学定期の大幅値下げを実現しました。北総線シルバー定期の導入。今後、議員のなり手不足が想定されることから、令和5年度の改選に合わせて議員報酬の妥当性を報酬審議会へ答申してもらいたいと市長に依頼しました。」とアピールしていた。北総線シルバー定期の導入の実現に取り組んでいるのだろうか?
👉北総線「運賃値下げ訴訟」 住民敗訴の判決を弁護士はどう見たか~現在、1駅間で最も高いのは290円。これは周辺の私鉄と比べると2倍高い運賃であり、利用者から「高すぎる」と不満の声が上がっている。(2013/04/08 弁護士ドットコムニュース)
👉北総鉄道の憂鬱~現在、一駅間で一番高いところは確か、290円だった。一駅間の距離はそこそこあるけれど、だからといって、一駅290円は高過ぎるだろう、というわけで、住民が国に値下げを命じるように求める訴訟を起こし、先月、東京地裁で判決が出た。(2013/04/12 個人のブログ)
👉北総線、値下げ継続できるか 補助金切れ「2015年」迫る~千葉県北西部と東京東部を結ぶ北総線は全長32.3キロ。1区間の運賃が最大290円と周辺の私鉄より2倍前後だ。(2013/08/02 日本経済新聞)
もう10年以上前の記事だ。こうした記事が北総線の運賃が何も変わっていないことを物語っている。沿線住民の悲願は通学定期の値下げだけだったのだろうか。通学定期の値下げは事業者のダメージが少なく、値下げを世間に印象付けるのに最も効果的な戦略だったのだろう。いかにも国交省の役人が考えそうな作戦だ。安倍のマスクよりはましかもしれないが…
通学定期の値下げは値下げというより普通の運賃になっただけの話にすぎない。これまで通学定期を人質に数々の補助金を払わされた挙句、高額運賃負担の代償が通学定期の値下げと一部区間の値下げで帳消しにされてしまった。しかも、北総線沿線地域活性化協議会という名の補助金収奪組織が未だに残っている。
前述の白井市地域公共交通活性化協議会の席で北総鉄道の委員は「何とか2年前に、15.4%強の運賃値下げで累積損失解消したということでさせていただいたのですけれども、それでもまだ大手に比べれば、運賃がまだ高いというのは、当社としても認識しております。」と発言している。
また、協議会の副会長(交通問題を研究している大学教授)は「北総さん、現場の皆さんは、本当に大変な思いをされています。お疲れさまでございます。運賃が高いのは故無きではなくて、先にかなり借金をしてしまって、それを要するに運賃収入で返していくということをやらないといけないですが、よくよく運賃水準を比べてみると、つくばエキスプレスも結構高いです。」とフォローし「つくばエキスプレスに対しては、そういう沿線の運動等が出てこないのは何でなのか想像するに、まちづくりと一緒にやっているからなのだと私は思っています。」と私見を述べ「例えば、西色井駅とか白井駅といった駅前を見ていると、もう少し何とかならないかという感じがしているところでございます。」と発言している。
運賃が高すぎるという現実問題が駅前の利便性で解消されるはずもない。通常、運賃が安くて交通利便性の高い地区にヒト・モノ・カネ集まるのが一般的で下手な再開発は過大投資となり、財政悪化の原因になるだけのように思う。副会長は学識経験者として意見を述べているのだろうが、私はコンサルタントを含めて結果に責任を負わない人々の提案を信用していない。
ただ、西白井駅構内の競馬関連の展示は何とかしてほしいと思っている。ウマ娘のアニメは理解不能だ。北総線で西白井駅に近づくとたまに車内放送で途中下車をすすめる案内が流れることがあるが、途中下車をしても見るべきものはないように思う。反って失望を招くだけのように思う。駅から遠く、徒歩で行けない競馬学校を身近に感じている市民などいるとは思えない。